「旅冊子『あるく みる きく』展 旅して学ぶ暮らしと手仕事」は2024年12月3日をもって無事終了しました。
おかげさまで、懐かしいという方にも、初めて知ったという方にも、予想以上にご好評をいただきました。
ありがとうございました。
開催概要
期間:2024.11.28(木)〜12.3(火)
場所:COUZT CAFE + SHOP
東京都台東区谷中2-1-11
http://couzt.com
展示を終えて
期間中は、寄贈者である日本民俗建築学会幹事長 津山正幹氏がお見えになり、活用を喜んでくださった上、今後についても温かい励ましをいただきました。
また、創刊者かつ元編集長である宮本千晴氏と、『あるくみるきく』に携わっていた当事者の方々、後続世代のご友人方もお越しくださり、思い出に花を咲かせていただけたようです。
私は居合わせませんでしたが、皆さんの笑顔を写真で拝見し、嬉しい気持ちに包まれました。
驚いたのは、『あるくみるきく』とはまったく初対面であるカフェの常連さんや、たまたま立ち寄られたお客さまも、この冊子の魅力を即座に見抜き、堪能してくださったことです。
『あるくみるきく』は旅の冊子とはいえ、いわゆる「コーヒーテーブルブック」と違い、カフェで一息つくにしては、やや硬派な読み物。
SNS映えさせるような加工もありません。
博物館や資料館ならともかく、町のおしゃれなカフェに並べてみて、はたしてお客さまの反応は……?
まずは試し、というところでしたが、根津・谷中という町の雰囲気が合っていたのでしょうか、共感される読み手に恵まれて望外の幸運でした。
やはり良いものは響くのですね。
いただいた感想
我が家にある号もあるが、小さい版の古い号で初めて見るものもあった。懐かしいだけでなく新たな発見もあり、よい時間を過ごした。(…)この素敵に居心地よいカフェは初めてだったが、この通称「谷根千」と言われる界隈は、まさしく観文研時代に文京区の民具展示の仕事で歩き回った想い出深い場所で、次回はもっとゆっくりと訪れたいと思った。
by 観文研 元職員さん
もともと『あるくみるきく』の愛読者で観文研に入られたという職員さん、後日に仲間の皆さんと再びご来訪くださいました。「楽しい貴重なひとときでした」「『あるくみるきく』をリアルで知らない世代が実際に触れられたことに大変意味がある展示だったと思います」とのコメントを頂戴しました。
旅冊子「あるく みる きく」展
とてもよかった(たまたま行っただけなんだけど)。なんか文章のなかに「バズ」がなくて、ただ書く人と書かれるものとの出会いがあった。この感触の文が懐かしく心地よく。
名前くらいしか知らなかった宮本常一のデカさを思う。
俳優の谷戸亮太さん(x、note、その他SNSのIDは @ryotayato )によるX(Twitter)での投稿を拝見しました。「バズ」がない。現代の言葉で本質を捉えた表現が、じつに印象深く感じられます。
貴重な資料を見せてくださってありがとうございます。
by COUZT CAFE 常連 Fさん
大阪の「みんぱく(国立民族学博物館)」が大好きだという方、なにげなく手にとられた183号「女たちの志摩」について、海女さんのこんな聞き書きが載っているなんて、と感動を伝えてくださいました。ウェットスーツ着用度の表や、アメリカ移民のお話など、細部までじっくりご覧になっていました。
「これは今では作れない雑誌だよ。近畿日本ツーリストという企業がスポンサーになって、宮本常一のもとに集まった若者たちにお金を出し、自由に旅をさせる。そんな一種の“無駄”が許されていた時代だからこそ叶った雑誌なんだ、……」このカフェで会う他の常連さんからそんな話を熱弁されて、興味を持ちました。
by COUZT CAFE 常連 Kさん
常連さん同士で、この実験的な雑誌が生まれ得た背景や希少価値について、熱く語り合ってくださったとのことです。核心を突いた評、まさにおっしゃるとおりですね。
ぜひとも合本を。このまま散逸してしまうのはもったいない『あるくみるきく』です。とりあえず海外版を早めに。国内版は農文協にあるので。
by 小原直史さん
お話を伺ったところ、小原さんは『あるくみるきく』の精神そのもののような旅人。上記のとおり前向きなご意見をいただきました。たしかに、海外版もぜひ!ですね。
SNSを見て足を運んでくださった方、連絡をくださった方も、ありがとうございました。
私はSNSを使いこなせていないのですが、こうした企画の告知における力を感じました。
また、棚をお借りしたコーツトカフェさんは、展示に来られた皆さんからも評判でした。お世話になりました。
旅する『あるくみるきく』へ
今回ささやかな試みではありましたが、このように思いがけず多くの反響をいただき、やりがいを感じました。
ご来客から「各地を巡っては」「本に旅をさせましょう」との案もいただきまして、この先『あるくみるきく』ゆかりの地方などで開催できたら面白いだろうなあと思います。
特集は日本全国をほぼ網羅していますし、海外もユニークなフィールドが豊富です。
山、海、島、衣、食、住、祭など、テーマ別の展示も考えられます。
現状、私個人のお小遣いと時間で可能なことは限られますが、図書館や博物館、学校、NPO、書店、有志の方などと協力してできるでしょうか。
『あるくみるきく』を携えた旅まわり、これまた「旅学」ではありませんか?
我が町に呼んでみたいという方は、どうぞご一報を!
※追記:今回の企画で後日ご有志の方から協賛をいただきました! 研究者を応援したいとのことです。
大変助かります。心より感謝申し上げます。
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