こちらのお席では、各地の町並みや景観を見ながら、未来に残したい風景についての手がかりを探っていきたいと思います。
カリブ海の島国キューバは、1930〜1950年代頃のアメリカン・クラシックカーが今も現役で走る、クラシックカー好きの楽園として知られています。
博物館に飾られていそうなクラシックカーが、地元住民の足として活躍。のみならず、見栄えの良い車は観光客向けのタクシーとして動いていますから、外国人旅行者が乗ることもできます。
また、優雅なフォルムのクラシックカーが映えるのも、この町並みあってこそ。スペイン植民地時代の建物が日常として存在している首都ハバナです。
この国は1958年のキューバ革命以降、アメリカからの不当な経済制裁によって、長らく物資や財力の不足に苦しまされてきました。そのため最新の車を手に入れることができず、人々は車をはじめ、古いものを何度も修理しながら大切に使ってきました。
かつてスペインやアメリカといった支配者からもたらされた建築や車は、大国の論理に振りまわされた挙句、住人たちの手によって奇跡のようにその姿をとどめたわけです。今や町全体が最大の観光資源となり、ユネスコの世界遺産にも登録されました。
家々の窓には美しいレースのフェンス。建物は西欧風でありながら、カリブの明るい色調が伺えます。ペンキが褪せているのは塗り直す余裕がないからかもしれませんが、かえってなんともノスタルジックな風情が漂います。これは2012年の写真ですが、近年は観光客が増えたようですから、今ごろはあちこち塗り直しているかもしれません。
歴史の中に迷い込んだような気にさせてくれる一方で、今日を生きる人々の生活感が、まぎれもない現代キューバの息遣いを伝えている、ハバナの町です。
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