北海道南部をめぐるアイヌ文化探訪、今回私は「二風谷コタン」(平取町)、「苫小牧市美術博物館」、「民族共生象徴空間ウポポイ」(白老町)を目的としました。さらに登別まで足を伸ばし、「知里幸恵 銀のしずく記念館」も加えると、充実したルートが完成しそうです。
宿泊は二風谷と苫小牧に取り、ウポポイには苫小牧から日帰りでアクセスすることに。ウポポイの付近にはドミトリーのゲストハウスがあったのですが、満室でした。ウポポイにはラグジュアリーなホテルも併設されていますが、価格的に私には無縁な世界。そのほか近くに手頃な宿がなかったため、苫小牧のホテル泊です。
車がなく、路線バスと電車を乗り継いで移動したので、その経路を紹介します。※2022年8月の情報
ローカル線にゆられていく北海道もオツなものでしたよ。
二風谷から苫小牧へ
道南バスで二風谷から「富川市街」へ
二風谷から苫小牧へのルートは、Google路線検索によると、バスだけで行くパターンと、電車も使うパターンがありました。バスだけだと乗り換え1回で済み、少し安くて早いようです。しかし私は、「民宿 喜楽家」を朝出発して「びらとり温泉ゆから」で一風呂浴び、ランチにビールを飲んでから苫小牧へ向かうというまことに素晴らしい計画を立てたので、その時間だと電車も使うパターンとなりました。
バス停「平取温泉」から13時06分の道南バス「富川高校」行きに乗り、「富川市街」で降ります。運賃800円。
「富川市街」で降りたら同じバス停の「鵡川(むかわ)駅前」行きバスに乗り換えて、終点で降ります。
「富川市街」のバス停には屋根などがないので、雨・雪・炎天下だと待つ間が少しつらいかも。2、30分待ったかと思います。なお、バスは余裕で10分、15分遅れてきます。接続が考慮されているかは不明ですが、まあ焦らず。
JR日高本線で「鵡川」駅から「苫小牧」駅へ
約30分のバス乗車で終点JR鵡川(むかわ)駅に到着。ここからJR日高本線「苫小牧」行きの電車に乗ります。
全然知りませんでしたが、このJR日高本線はローカル線マニアに知られた人気廃線寸前路線(?)のようで。写真を撮る人が多かったです。
一両編成のワンマン列車で、思いがけず旅情を楽しめました。
あえて日高本線に乗るために電車ルートを選ぶのもおすすめですね。
私は特に乗り鉄マニアではないのですが、Google先生の言うとおりに動いているとたまたまローカル線に乗りこんでいることがあります。そんなときはひとりなんとなく盛り上がります。
約30分の電車旅で、苫小牧駅に到着。都会に来たような印象。
二風谷から苫小牧駅までは約2〜3時間(ざっくり笑)、運賃は合計約2000円でした。
苫小牧から白老へ
道南バスで「苫小牧駅前」から「白老コタン」へ
苫小牧から「民族共生象徴空間ウポポイ」のある白老町へは、JR室蘭本線「東室蘭」行きの電車を利用すると、24分。最寄りは「白老」駅です。運賃540円。
しかしJR白老駅からウポポイまで20分ほど歩くので、苫小牧からはバスが便利。
苫小牧駅前南口のバスターミナル1番乗り場から、道南バス「登別温泉(白老駅前経由)」行きに乗り、「白老コタン前」で降ります。所要約40分、運賃480円。
「白老コタン前」バス停からウポポイへは、少し歩いて踏切を渡ると到着です。
JR室蘭本線で「白老」駅から「苫小牧」駅へ
ウポポイでは一日たっぷり見学して、とっぷり日が暮れました。
閉館後の夜20時、もうバスはないので、電車で苫小牧へ帰ります。
大通り沿いを1.1kmほど歩き、JR白老駅へ。
電車は二両編成でした。
気をつけていただきたいのは、一番前のドアから乗り込むこと!
ホーム後ろのほうで待っていたらドアが開きませんでした笑
地元民らしき方々が先頭車両側ばかりに並んでいたので何事かと訝しんではいたのですが、前から乗るシステムだったのでした。あわてて前へ走ることになりました。
アイヌ文化拠点交流促進バス「セタプクサ号」
前記事の繰り返しになりますが、二風谷から白老まで、夏季限定運行のアイヌ文化拠点交流促進バス「セタプクサ号」も利用できます。
2022年セタプクサ号 詳しくはこちら↓
http://www.town.biratori.hokkaido.jp/wp-content/uploads/2022/06/1fbb58f47ef627329ec0ed0fe5d16016.pdf
2022年の運行は、二風谷コタン13時50分発、ウポポイ(白老町)15時10分着、運賃1000円。
お得ですね。都合が合えば乗りたいところです。
白老から新千歳空港へ
帰路、白老から新千歳空港へは、電車でもバスでもアクセス至便でした。
電車は約30分で約1500円、バスは約1時間と倍ほどかかりますが、料金は630円と電車の半額ほど。バスにしました。苫小牧駅前のバス乗り場1番から「新千歳空港」行きに乗り込みます。
白老コタン行きと同じバス停です。
車が順当ながら公共交通にも魅力
正直、運転ができる人ならば、広い北海道では車があったほうがあちこちへ自由や小まわりが効いてよいと思います。
しかし今回の道南アイヌ文化探訪の目的地に関しては、いずれも公共交通でも可能な範囲でした。
また、公共交通ならではの魅力もあります。下記に挙げてみましょう。
費用を抑えられる
一人旅で長期の場合は、レンタカーを借りるとかなり割高になると懸念されます。たとえば10日間の旅でレンタカー代を一日5000円とすると、借りっぱなしで5万円程。数人で割れるならともかく、一人だとためらいます。バス・電車だと現地移動に1万円かからなかったので経済的。
むしろ一人で10日間を好きに使えるからこそ、のんびりとバスや電車で行く旅が実現できるともいえます。便数があまりないので、待ち時間は必須。時間に余裕のある人ができる旅です。
あるいは、JR鵡川駅や苫小牧駅で1〜2日だけレンタカーを借りる手もありそうです。
景色をゆっくり眺められる
運転していたらよそ見できないですもんね。バスや電車なら、ひたすら車窓の景色に集中できます。乗り換えの待ち時間には、辺りを観察したり、やたらとうろつきまわったり、ぼうっと空を仰いだりできます。
地域文化に親しめる
地元の人たちと乗り合わせるのって楽しいですからね。
車内のアナウンスや広告、バス停の名前にも地域色があって面白い。バスや電車に乗ることが単なる移動ではなく、それ自体ひとつのアトラクションなんですよね。
もっとも、地元民の足は車が基本なので、「暮らすように旅する」という意味ではむしろ車ルートのほうが地元っぽいのかもしれません。それでもバスにはバスの、電車には電車の見せてくれる地域の姿がありますよね。
路線存続への貢献
現在多くの地方で、ローカルバスやローカル線列車が廃線の危機にさらされていることと察します。いまや車社会とはいえ、運転できないお年寄りなどはやはり公共交通が必要でしょう。平取町でのバス利用者は少なく、通学の学生のほかは一人や二人程度でした。それでもなくなっては困りますから、赤字路線の存続に少しでも貢献すべく、あえてローカル線を利用するのも一案。旅人が率先して公共のバス・電車を使うことで、廃線を防ぐ一助になるといいですね。
逆ルートも有り
新千歳空港からは白老町への直行バスがあります。上記とは逆にまずウポポイへまわり、そのあと苫小牧や二風谷に向かうほうが簡単かもしれません。しかし個人的には、先に二風谷を見てからウポポイという見学順にして良かったと思います。ウポポイのほうが新しい施設なので。二風谷の歴史をふまえて、ウポポイがどのような努力で誕生したか、考える視点を養える気がするからです。まあこれは好みや宿の都合などもあるでしょう。
登別からスタートするのもスムーズですね。
以上、道南アイヌ文化探訪にあたっての公共交通案内でした。
自分自身が実際行く前に探していた、知りたかった、見たかった情報を載せました。
では良い旅路を! イヤイライケレ!(ありがとう!)