北海道の南部にある二風谷(にぶたに)は、アイヌ文化が色濃いとして知られる地域。アイヌの伝統的な村を再現した野外博物館「二風谷コタン」を中心に、アイヌ文化に親しめる各種博物館が集まっています。
伝統的工芸品に指定された「二風谷イタ」(木彫りのお盆)や「二風谷アットゥシ」(樹皮の織物)、アイヌとして初めて国会議員となった萱野茂(かやの しげる)氏の出身地でも知られ、アイヌの民族文化に触れるならぜひとも訪問をおすすめしたい場所です。
リンク:平取町へ。アイヌ文化へ。(平取町役場観光商工課)
さて、その行き方は?
基本的に、北海道では車(レンタカー)一択で、カーナビをセットすれば済む話だと思います。
しかし私は10年超えのペーパードライバー。もうどっちがブレーキか忘れたよ。
公共交通で行こうにも、あれこれサイトを検索しても詳しくは載っていないし、甚だ不安。
そこで北海道や旅のスペシャリストたちに助言をあおぎ、悩んだ結果……、
・今回は空港から路線バスを乗り継いでいきました!!
・でも、初心者ドライバーでも充分運転できそうな道でした!!
2022年8月26日に新千歳空港から向かった、二風谷コタンへの交通事情について報告します。
二風谷の地域内での移動
見どころは徒歩で巡れる
二風谷があるのは、札幌市から南東に位置する平取町(びらとりちょう)です。
新千歳空港から二風谷までは公共交通でたどりつけたとしても、見学先をまわる移動手段はあるのかが、まず気になるところ。
この問いについては、経験者から「徒歩で大丈夫!」との情報をいただきました。
そのとおり、主な見どころはコタン周辺に集まっているので、二風谷内は徒歩で移動可能でした。
「びらとり温泉ゆから」は、コタンから約1.4kmなので歩くと20分ほどかかりますが、散歩気分で行ける程度。ただ、雨だとちょっとつらいですけどね。
主軸となる博物館や資料館巡りは、雨でもたいした支障はないと思います。
また、コタンにある沙流川(さるがわ)歴史館では、レンタサイクルを無料で貸してもらえます。
宿からコタンへはバス
二風谷コタンから程近い「ゲストハウス 二風谷ヤント」さんは、「茅野茂 二風谷アイヌ資料館」の敷地内にあります。「ヤント」さんに宿泊であれば、博物館や温泉へのアクセスは徒歩またはレンタサイクルで解決するでしょう。
また、「びらとり温泉ゆから」も宿泊可能で、ホテルとキャンプ場があります。
しかし二風谷では、ほかに宿泊施設は見あたりません。町内で少し離れた小平(こびら)や富川に宿をとるならば、コタンまでは車または路線バスでの移動となります。
私が泊まった小平の「民宿 喜楽家」さんであれば、コタンを通る路線バスが一日に5〜6本。
朝はバス停「小平中央」から9時48分に乗り、夕方は「資料館前」から16時6分に乗って帰ってくる感じです。
多少、バスの時刻を気にしながらの見学にはなりますが、無理のない範囲かと思います。
ちなみに私は案の定、最終バスに乗り遅れましたので、コタンから10kmほどの道を歩いて宿まで帰りました。
しかし道路はヒト科が通る仕様ではなかったので、大型トラックがびゅんびゅん走ってきますし、「お、なんかいるぞ?」と野生動物に遭遇したかのごとくドライバーさんに減速迂回させることになりました。歩道があっても、つわものどもが夢の跡のように草に覆われていたりしました。
もしも道路を歩く場合は、明るいうちに、目立つ色の服を着て、くれぐれもお気をつけて。
なお、「民宿 喜楽家」さんでは食事付きが選べますが、「ヤント」さんでは食事の提供はなく、キッチンを自由に使えるスタイル。しかし大きなスーパーは二風谷にありません。缶詰や飲み物は近くの商店に、多少の野菜は「びらとり温泉ゆから」の売店にもありますが、それ以外の食材は車で20分程の町まで買いに行くことになります。車がない場合は、自炊するならばあらかじめ食材を買って持ち込む必要がありそうです。
外食ならば、徒歩圏にある食事処は「ドライブインユーカラ」と「びらとり温泉ゆから」です。
札幌千歳空港から二風谷への移動
今回私は東京から飛行機で新千歳空港に降り立ちました。
新千歳空港から二風谷までは、車(マイカーまたはレンタカー)、路線バス乗り継ぎ、期間限定バス「セタプクサ号」で直行、という三択が主でしょう。二風谷での滞在期間、宿や食事の都合をふまえて検討してみてください。
車(マイカー/レンタカー)
北海道旅行エキスパートである友人のおすすめ手段は断然、車とのこと。
やはり運転できる方は、マイカー、または空港でレンタカーを借りるのが第一手になると思います。
私はペーパードライバー歴が長すぎて、ギアってなに? という状態だったので、今回は万が一の事故の危険性を考えて、運転を控えました。しかし、少々のブランクや、ふだんは助手席に乗っていて車自体には慣れている、という方なら、空港から二風谷までの道は問題なく運転できると思います(冬場の雪のときは知らんけど)。所要時間は1時間ちょっと。
「大丈夫、道はまっすぐだから!」という友人の言葉どおり、広くてまっすぐで信号が少ない北海道の道。田園地帯に入ればともかく、空港周辺などの都市部は交通量も多くてややこしかろう……という予想は杞憂でした。私も少し練習すればいけるかも、と希望が持てました。しかし慣れているドライバーや大型車両がスピードを出しているかもしれないので、油断は禁物。ちなみに車道近くの藪で、鹿を見かけました。エゾシカ? 北海道らしくて感動。安全運転してくださいね。
路線バス
新千歳空港から二風谷まで公共交通で行く場合は、路線バスの乗り継ぎになります。
1.空港1階のバス乗り場から、道南バス「苫小牧駅前」行きに乗り、「沼ノ端駅北口」で降ります。
所要約30分。運賃460円(2022年7月時点・以下同)。
道南バスではPASMOは使えないので、小銭またはPayPayを用意しましょう。
2.バス停「沼ノ端駅北口」から、道南バス「静内」行きに乗り換え、「富川市街」で降ります。
沼ノ端駅北口には自販機、公衆トイレがあります。駅前は何かしら賑わってるものかと思いきや、周りにお店はほぼないので、ぼんやりとバスを待ちます。沼ノ端駅北口で降りるバス停と乗り換えるバス亭は別ですが、隣なのですぐ分かりました。だいたい20〜30分くらいで乗り換えのバスが来ます。所要約1時間。運賃760円。
3.「富川市街」で降り、道南バス「日高ターミナル」行きに乗り換え、「資料館前」で降ります。
富川市街を越えると平取町です。米やトウモロコシ、ジャガイモなどの豊かな田園風景を眺めながらバスは走ります。路線バスだと地元の高校生などが乗ってきたりするのも楽しいものです。
所要約30分、ついに二風谷の「資料館前」到着。運賃忘れました、たぶん730円くらい。二風谷コタンはバス停の目の前。
「資料館前」とは「萱野茂 二風谷アイヌ資料館」前のことで、「ゲストハウス 二風谷ヤント」に宿泊の場合は、このバス停から歩いてすぐです。
「民宿 喜楽家」に宿泊の場合は、同じ路線途中のバス停「小平中央」で降ります。こちらもバス停から歩いてすぐです。
新千歳空港から二風谷までのバス運賃合計は、2000円前後でした。
1→2→3の順でバスの本数が少なくなっていきます。ネットで経路検索すると、乗り継ぎの良い時間が3〜4パターンほど出てくるかと思います。微妙に乗り継ぎのバス停や合計料金が違ったりするので、乗りたいバスの時間に合わせて到着する飛行機を選ぶと良さそうです。
アイヌ文化拠点交流促進バス「セタプクサ号」
旅の予定が夏季ならば、新千歳空港から二風谷までの直行バス「セタプクサ号」を利用できます。アイヌ文化拠点の交流促進を目的とした、平取町による期間限定のバスです。
「セタプクサ」とはアイヌ語で「すずらん」の意味だそう。
2022年セタプクサ号 詳しくはこちら↓
http://www.town.biratori.hokkaido.jp/wp-content/uploads/2022/06/1fbb58f47ef627329ec0ed0fe5d16016.pdf
一日一本運行で、2022年は新千歳空港10時20分発、「びらとり温泉ゆから」で50分滞在ののち、二風谷コタン12時30分着。運賃1000円。
「セタプクサ号」で行くと、二風谷では町民が日替わりで「町歩きガイド」さんとなり、得意分野で約30分の案内をしてくださるそう。都合が合えばぜひ乗ってみたいものです。
二風谷コタンからウポポイ(白老町)への移動にも利用できます。
終日べったり拘束されるツアーバスではないので、自分の旅に合わせて乗降して、上手に使えそうです。
2022年運行実績
〇運行日:7月2日(土)~9月25日(日)土日祝日・1日1便運行
※8月2日(火)~8月21日(日)は、月曜日を除く毎日1便運行
〇行 程:札幌駅⇒新千歳空港⇒びらとり温泉ゆから⇒二風谷コタン
【平取町】⇒ウポポイ(民族共生象徴空間)【白老町】
⇒新千歳空港⇒札幌駅
「セタプクサ号」、これからも運行されるといいですね。
おまけ
新千歳空港では珈琲で一服しながらバス待ち。
東亜珈琲館のブレンド、おいしかったです。千歳市にある1974年創業の純喫茶だそうです。
空港内は道内の各種ソフトクリームが勢揃いするソフトクリームパラダイスでもありました。
今度はきっと!
以上、新千歳空港から二風谷へのアクセス紹介、どなたかのご参考になれば幸いです。
イヤイライケレ!(アイヌ語で「ありがとう」)