こちらのお席では、世界各地のお飲み物やお菓子、軽食などをご紹介します。
本日のお飲み物は、南インドの町角から、チャイをお届け。日本でもすっかりお馴染みとなった、牛乳で煮出す濃厚なミルクティーですね。
お店は、インド南西部ケララ州の州都コーチ(Kochi) にある、朝だけ開いているお茶屋さん。下町風情漂う商店街エリアの近くで、紅茶と朝食用のスナックを提供しています。ご主人とマダムがとっても感じが良くて、早朝からきびきびてきぱき働きつつ、外国人にも優しく親切なのです。
忙しい中でも写真も快諾してくれて、この笑顔。
朝からこんなお茶屋さんと出会えたらその日は一日ラッキー!
こちらのお店をはじめ、コーチの町には、とにかく親切で穏やか、自分に誇りを持ち、楽しんで仕事をしている人が多いと感じます。
ちなみにこの地方では、「チャイ」を「チャヤ」と発音しているのをよく聞きます。地元の方に「チャヤって言うんですか?」と聞いてみると、「そうそう、チャイのことだよ、チャヤって言うね〜」という反応。
「茄子」を関西では「なすび」と言うようなもの? というか、チャイはヒンドゥー語、チャヤはマラヤーラム語なのでしょうか。「チャイ」でも問題なく通じますし、チャイと言う人もいます。
さて、お茶が煮えたら、ステンレスのカップと深めの受け皿を用意し、カップから受け皿へ、受け皿からカップへと、交互に移し替える儀式。高いところから何度か注ぐことで、空気を含み、まろやかな味わいになるようです。温度もちょうどよい飲み口に。
この泡が、日本のお抹茶のようなやさしい口あたりなんですね。
お客さんによっては、提供された後もさらに自分で受け皿とカップで何度か注ぎ合ったりしています。たぶん冷ましているのでしょう。私も挑戦しましたが、ステンレスがけっこう熱いんですよね。こぼさないように上手に注ぐには、ちょっとコツがいりそうです。
店先に並べられた保温器の中をのぞくと、おや、何やらおいしそうなスナックが。「ワダ」と呼ぶ、豆の粉でつくった甘くないドーナツみたいなものです。外側はカリッ。おやつや朝食によく食べられています。「サンバル」というマイルドなカレーソースをかけていただくと、甘いチャイとよく合いますね。ソースのスパイスで心地よく目が覚めてきます。
店頭では、手前にあるボウルで「ワダ」のタネを、奥の蒸し器で「イドゥリ―」を作っていました。南インドの朝食の定番、イドゥリーは、米粉と豆粉でつくったひとくち蒸しパン。これも素朴でおいしいのですが、今日はワダをいただきましょう。
店内を眺めると、壁にはヒンドゥーの神様たちが祀られています。
メニューはこの地方の公用語、マラヤ―ラム語です。読めません。でも並びから見て、お茶は6ルピーですね。屋台でもだいたい10ルピーなので、良心的なお値段です。ワダも6ルピーでした。(※2018年時点)
驚いたのは、お会計を小銭で払うと、お店のマダムが丁寧にさらなる超小銭で1ルピーのお釣りまでくれようとしたこと!! きちんとお釣りを返そうと、数銭の小さなコインをごそごそと探して出してくださったのです。(使いこなせないので辞退しましたが笑)
昔、一大観光地のデリーやバラナシに行ったときは、私のような軟弱な外国人旅行者には買い物でお釣りをくれないどころかぼったくられることも多かったので、こちらの店員さんの誠実さは衝撃でした。
おいしいお茶を供され、あたたかく迎えてもらった上に、正直なお人柄に触れる。実に印象深い、清々しい朝でした。私、もう一度人を信じてみようかしら……。
南インド、コーチの朝から「チャヤ」と「ワダ」でした!
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