旅の荷物は、バックパックか、キャリーケースか?
この答えを決めかねたときのため、キャスター付きのバックパックというか、背負えるキャリーケースというか、バックパックとキャリーケースのハイブリッドなバッグを購入してみました。
このタイプ、ありそうで意外と種類が少ないんですね。
私が選んだのは、SOLO-TOURIST(ソロツーリスト)のキャスター付きバッグ「アブロードキャリー57」です。
結論、汎用性が高くて後悔していません。
ご参考までに、感想を記しておきます。
なぜ背負えるキャスター付きバッグを選んだのか
バックパックでは困ること
私は「歩く旅」を推しておりまして、これまではどこでも歩けるバックパックを多用してきました。
旅立ちの日、肩に荷をかついだ瞬間に湧きおこる高揚感は得もいわれません。
しかしそうして長く旅を共にしてきたバックパックを新調するにあたり、次のようなためらいがありました。
体力が追いつかない
なにせ年齢にしたがって、身が持たなくなってきたんですよ。
肩が重いと空港にたどりつくだけで疲弊してしまい、肝心の現場で歩く余裕が残らない。
最近は紙の資料をずっしり持ち帰る前提もあります。
うん、もういいかな、キャリーケースでも……。
謎に目立つ
そもそも近年、バックパッカーの生息数はめっきり減ってきたようです。
豊富なサイズの手頃なキャリーケースが出まわるようになったのも一因でしょう。
かつては学生の旅などバックパックがあたりまえだった気がするのですが、いまや若者でも、1〜2泊でも、キャリーをコロコロするのが主流。
日本人バックパッカーは絶滅危惧種といってもよいかもしれません。
こうなると、特に国内など、私のような緩みきった大人が登山でもないのに巨大バックパックを背負っているのは、妙に目立つわけです。
ちょっと良いホテルで気が引ける
ホステルを渡り歩くような旅であっても、体調や都合によっては高級そうな宿を取る可能性も。
そんなとき、薄ら汚れたバックパックでは気後れしてしまいます。
縦型収納が使いづらい
私が使ってきたバックパックは登山ウェアブランド「ミレー」の45リットル。
さすがに歩きやすいのですが、荷物は上から入れる仕様なので、下のものを取り出しにくいのが難点です。
バックパックには横開きできるタイプもありますが、長旅に適した大きなサイズは登山向きの縦型で、上から収納のものが多い気がします。
キャリーケースでは困ること
キャリーケースでは、「RIMOWA」のサルサシリーズMサイズ(廃盤・たぶん61リットル)を持っています。
軽くて丈夫で大変満足しております。
しかし、コロコロでは立ちゆかぬ状況もあるのです。
どんな旅になるか決まっていない
私の旅は、行程をきっちり決めていない場合がほとんど。
おおむね街中の舗装路を想定していても、現地の実情はよくわからないし、風の向くまま、いついかなる地をめざすとも知れぬ。
道なき道を進むには、やはりかつげるバッグがよいのであります。
キャスターが使えない場所もある
たとえ行程を決めていたとしても、未舗装の山村や、アジアのバイクタクシー、ヨーロッパの石畳、長い階段……キャスターだとかえって不便な道のりが含まれていたりします。
気分の問題
今持っているキャリーケースだと、短い旅にはやや大げさだし、のどかな田舎ではもっとカジュアルにいきたい気も。
なぜ「アブロードキャリー57」を選んだのか
選択肢
ほかのキャスター付きバックパックは、ほとんどが30〜40リットル台で小ぶりでした。
大容量ではボストンバッグ型(たとえばコールマンとかキャプテンスタッグ)があったのですが、今回の目的は「背負いやすさ」と「歩きやすさ」。
長旅に適した大容量かつバックパック型のキャスター付きとなると、ほぼこちら一択の結果でした。
サイズ
「アブロードキャリー」には43リットル、57リットル、70リットルの3サイズがあります。
43リットルだと荷物が満杯になりすぎるし、70リットルは大きすぎて背負えない。
そこで、中間の57リットル(約H62×W36×D25cm ※拡張部分を含む)にしました。
いま使っているRIMOWAのサイズ(H63.5×W42×D24.5cm)と大差はないけれど、ベルトを締め上げるとひとまわり小さく使えます。
なお、機内持ち込みは早々にあきらめました。飛行機では預け入れ前提です。
カラー
色は無難にブラックを希望していたけれど、購入時にたまたま安くなっていたのでグレー(※)にしました。
同じ値段なら、やっぱり汚れが目立ちにくいブラックを選ぶかも。
とはいえグレーでも特に問題なしです。
※注:2024年10月現在の販売カラーはブラックとカーキ
実際に使ってみた詳細
機能性
キャリーケース⇄バックパックへの変更
変更方法をまず動画で見る方はこちらをどうぞ。
背面のファスナーを開くと、ショルダーベルトが現れます。
腰のサポートベルト、腰と胸の2ヶ所にストラップも付いていて、重い荷物も安定して背負えます。
ベルトを出してバックパックにするまで約1分15秒。
ベルトをしまってキャリーケースに戻すには約1分でした。
たった1分程度なのですが、ものぐさな私は、頻繁には変更していません。
たとえば駅の階段くらいなら、キャリーのまま持ち上げてしまいます。
まあ変更しても、たいした手間ではないんですけれどね。
むしろきわめてスマートで、感心すべき仕様でしょう。
私がバックパックとして背負うのは、「今日は一日バイクの後ろに乗って移動だ!」「宿まで20分歩く道がでこぼこだらけ!」といったときです。
57リットルのサイズ感
国内旅1週間、海外旅2週間〜1ヶ月くらいで使用しています。
拡張ファスナーを広げれば幅を5cm大きくできます。
キャスター性能
二輪キャスターが快適に作動します。四輪より転がしづらいのでは?と想像していましたが、特に気になりませんでした。
二輪だと電車やバス内でも自立して、動かないのがよいですね。
引きまわし具合は前述の動画でご覧ください(最後のシーン、2分10秒頃です)。
ハンドル操作
二段階の高さ(約30cm・約40cm)に調節可能、動きもスムーズで問題ありませんでした。
デザイン性
街中で背負っていても違和感がないデザイン。ビジネスでもプライベートでもいけそうです。
取っ手が2ヶ所あるので、階段とかでちょっと持ち運ぶときに重宝。
撮影していて初めて気づいたのですが、なんなら底部にも取っ手がありました。
そしてこのバッグが優れているのは、フタが大きく開いて出し入れしやすいところ!
しかも、全開してもキャリーケースほど場所を取りません。
ポケットは内側に2つ、外側に1つ。
バッグ本体も、ファスナーを少し開ければ上からちょこっと取り出しやすいのがよいです。
気になった点
やわらかいナイロン素材なので、壊れもの厳禁です。
撥水加工ではあるけれど、雨には弱そう、汚れやすそうという懸念も。これはカバーをかけることで対応できますが、私事ながら、一般のバックパックカバーをかけたらキャスターを使えなくなってしまいました……。アブロードキャリー用カバーだと、付けたまま背負うことも転がすこともできるようです。
カバーを買うならケチらず専用にすべきでした……。
また、付属の鍵はないし、素材が切られやすそうだし、防犯性は低いかと思われます。対策は、ファスナーに南京錠をかけるくらい。
それは通常のバックパックと同じですね。
あと、まったく個人的な好みの問題ですが、ブランド名の「ツーリスト」という言葉がちょっと……。イメージがね……。
旅の研究をして語義にこだわるオタクゆえ、儚き抵抗感が少々。
キャリーケースとの使い分け
アブロードキャリーは2wayで便利ですが、それでも完全に舗装路でコロコロするだけの前提なら、1wayキャリーケースを選ぶのは次のような場合です。
雨が多いとき
防水ならハード素材のキャリーケースのほうが安心。
壊れものが多いとき
アブロードキャリーにおみやげのフォトフレームを入れていたら割れました(自業自得)。
RIMOWAでは、タオルでくるめばわりと大丈夫でしたが……。
やはり空港での預け入れで押しつぶされるということですね。
防犯性を求めるとき
布っぽい素材より、ハードな素材で鍵付きがベターですよね。
バックパックとの使い分け
トレッキング旅であれば当然バックパックですが、そのほか、あえてキャスターなしバックパックを持って行くとしたら次のような場合。
未舗装路が大半のとき
外国でバイタクや軽トラの荷台を乗り継いで田舎の村へ向かうとか。
巡礼旅のとき
お遍路やサンティアゴ・デ・コンポステーラでも、歩きやすさに特化したバックパックが良さそう。
体力があり余っているとき
若くて元気なうちに(主観で)、荷をかつぐ旅をするのは良い経験です!
「アブロードキャリー57」総評
私の場合は現状、ほぼキャリーケースとしてキャスターをコロコロしています。
背負うことはたまにしかありません。
やはりキャリーケースがメインで、バックパックはサブ、という使い方の印象ですね。
でも、いざとなったら階段も山道もバイタクも対応できるのは心強いもの。
軽い(約2850g)のも嬉しいですね。
どこへ行って何が起こるかわからない長旅。
街も、村も、山も。
安宿にも、ホテルにも。
そこまでアーバンでもなく、そこまでワイルドでもなく。
そんなオールラウンドな旅に、応用が効くバッグかと思います。