旅で最もエキサイティングな瞬間とは?ナターシャさんの答え

フランス・パリ 旅人の肖像

YouTubeを流していたら、旅についてたいへん共感する意見が聞こえてきたので紹介します。

Luke’s English Podcastという英語学習チャンネルにゲストで登場した、Natasha V. Broodieさんのコメントです。

ナターシャさんはこれまで人権分野において、国連でプログラムマネージャーやコミュニケーションアドバイザーを務めたほか、政府機関や企業などでもグローバルに働いてこられました。

また、2023年には就活面接のコツを書いた本を出版しています。ご自身の経験をもとに、特に黒人女性をはじめとしたブラック、ブラウン、アラブ男性を含む有色人種の人々が就職で直面しやすい差別の克服について、網羅的に指南した本だそうです。(“Swaggart: The Art of Professional Schmoozing at Job Interviews”)

動画では主催者ルークさんとの対談の中で、ナターシャさんは、ここ2年半は世界各地をノマドのように旅しながら本を書いていた、と近況を語っています。ユネスコの契約を終えたあと、次の仕事を始めるのではなく、自分を再発見するためにキャリアブレイクを取ることにしたのです。

旅の間は、エクアドルで本の大部分を書きながら暮らし、ギリシャでも少し過ごし、イギリスで家族と会い、フランスで友人たちに会い、米国テネシーで親友に会い、その前にはマレーシアに2、3ヶ月いて本を書き始め、マレーシアの前はエジプトに2ヶ月滞在していたとか。動画撮影時は米国ポートランドにいたようです。

「完全にノマドですね。いったいなぜそんなにいろんな場所で過ごすのですか?」と聞かれたナターシャさんは、こう答えます。

「旅を愛しているんです。旅は文字どおり、私の人生を作りあげているものです」。

その部分を引用してみましょう。

 

ルーク:完全にノマドですね。いったいなぜそんなにいろんな場所で過ごすのですか?

ナターシャ:私は旅を愛しているんです。旅は文字どおり、私の人生を作りあげているものです。大好きですね、本当に旅を愛しています。旅オタクになった人は誰でも知っているフレーズだけど、旅はドラッグ。とても中毒性があります。異なる人々に出会い、異なる場所に出会い、異なる文化を見て、その中に馴染んでいく。それは私自身が誰かということ、私が信じていることにおいて、とても大きな部分を占めているので、旅なしの未来は考えられません。

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Luke: You are a complete Nomad, so how come you spend the time in all these different places?

Natasha : I love travel, it is literally the makeup of my life, I love it, I absolutely love it, anyone who becomes a travel geek knows the phrase that travel is a drug, it is so addictive, meeting different people, meeting different places, and seeing different cultures and acclimating into it, it is so much a part of who I am and what I believe in that I can’t see my future without it.

9:50~ Job Interview Swagger (with Natasha V. Broodie) in Luke’s English Podcast

 

旅は麻薬。旅は病い。日本の旅オタクたちも口々にそう語ってきました。旅はまさに「病みつき」になるんですよね……。

さらに、「旅の最もエキサイティングな瞬間は?」と聞かれたナターシャさんが、少し考えた末に出した答え、それは「言葉の壁」でした。

ルーク:新しい場所へ旅をしたとき、最もエキサイティングなのはどんな瞬間ですか?

ナターシャ:ええと、新しい場所に旅をした瞬間、うーん、今まで誰もそういう質問を私にしたことがなかったけれど(笑)、最もエキサイティングな瞬間は、ああ、たぶん、言葉の壁。そして、あなたが求めるものが何かを伝えるため、コミュニケーションの方法を探し出そうとするときですね。あなたが知らない、まったく喋れない言葉の中で、あるいは限られた言語能力しかない中で。それで、私がフランスで受けたような反応を受けること。私のフランス語はそんなに上手じゃないし、アクセントのせいでさらに悪いことになるんだから(笑)。そういうことがたぶん、私が生きる目的であり、それと同時にすくみあがる瞬間ですね。

ルーク:ええ、そうですね、あなたがフランスでどんなふうに感じたか、よく分かりますよ。

***

Luke : What’s the most exciting moment when you’re traveling to a new place?

Natasha : Um, the moment when I’m traveling to a new place, um, that’s a really no one has ever asked me that kind of question, the moment that would be most exciting, um, probably language barriers and then trying to figure out how to communicate what it is that you want, either in a tongue that you do not know and you do not speak at all, or with limited language skills and then having to get the reactions like I get in France, because my French is just not that good and the accent that goes behind it makes it even worse, so things like that is those are probably the moments that I live for and cringe at the same time.

Luke : Yes, well, I know exactly how you feel in France.

10:30~ Job Interview Swagger (with Natasha V. Broodie) in Luke’s English Podcast

ここは非常に重要なポイントだと感じました。

「言葉の壁」があるからこそ、印象深い体験ができるというのです。

「旅」といったとき、日本国内と海外、あなたはどちらをイメージするでしょうか?
実は、日本では旅行をするなら国内がいいと考える人が圧倒的に多いのです。
海外旅行はむしろ行きたくないという割合が増えており、実際に出国者数はコロナ前のデータを見ても減少しています。(日本交通公社『旅行年表2015』

しかし、海外旅行に行った結果としては「大変満足」と感じる人が多く、満足度は国内旅行よりも高くなっています。

その理由はいろいろ考えられますが、ひとつの鍵が「言葉の壁」かもしれません。

海外に行きたくないのは「言葉がわからなくてめんどくさいから」という面もあるでしょう。

けれども行って帰ってきてみると、言葉がわからない中でなんとか目的地に着こう、欲しいものを得ようと、試行錯誤してもがいた旅ほど思い出に残っているものです。
ときには冷たくあしらわれたり、ときには温かく助けられたり、絶望と喜びの間で感情のジェットコースターに揺さぶられながら、未知の外界と自分との間にコミュニケーションの橋を探り出す。それは、まだ舌足らずの子どもに生まれ変わったように新鮮な冒険です。

ナターシャさんはそうして言葉の通じない相手とのコミュニケーションに取り組むことこそ、人生の目的であると同時にすくみあがる瞬間だ、と両義的な魅力を伝えていますね。

「旅をしていて最もエキサイティングな瞬間」、いざ自分が聞かれたら戸惑いそうですが、ナターシャさんのとっさの回答はベストアンサーだと感服しました。

覚えたばかりの外国語が初めて通じた感動、暗闇の世界がぱっと明るくひらけたような衝撃。
海外を歩いた人なら、記憶があるのではないでしょうか。

ハードルがあるから旅は楽しい。
異国の誰かと通じる嬉しさ。
困難をのりこえていく快感が「病みつき」になる一因なんですよね。

だから、旅はぜひ言葉の不自由な海外へ出るのがおすすめなのです。

そう思うと、英語圏の人より、日本語育ちの人は旅を楽しむのに好都合なのかもしれませんね。

 

上記Luke’s English Podcastを主催する英語教師のルークさんは、日本で働いていたことがあるそうですよ。ときどき日本の話をされています。
現在はフランス在住、だから上記でもフランス人の反応について「よく分かるよ」と言っていたんですね。

紹介した会話は開始8分頃からなので、気になったら生の声を確認してみてくださいね。

動画ではこの後、面接成功の秘訣についての話に進んでいきます。
「自分の価値を信じて。自分を低く見積もらないように!」とのメッセージです。

※ちなみに私はこのチャンネルと何の利害関係もないただの一般視聴者です。

動画全編はこちら↓
889. Job Interview Swagger (with Natasha V. Broodie)
Luke’s English Podcast 2024/07/02

https://www.youtube.com/watch?v=I4E4RjYX3h0

Natashaさんの就職面接に関する新著はこちら↓ 

Swaggart: The Art of Professional Schmoozing at Job Interviews (English Edition)


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